赤ちゃんの声が聞こえる
今回はヒプノネタではないのですが、私が日常の仕事の中で起こったお話しを書きます。
私は産婦人科で、日々プレママと子育て真っ最中のママ、新生児、赤ちゃんに囲まれて仕事をする助産師です。
命が生まれる現場でもあり、母と子供の目に見えない神秘的な絆や繋がりを日々考えさせられるお仕事です。
でも、実際には、ハッピーなお産と同じくらい命の重さを学ぶ重いテーマに向き合う仕事でもあります。
望まない妊娠、死産、マタニティーブルー、産後うつ、虐待、赤ちゃんの奇形や染色体異常などなど…
陰陽が交差し交わる世界でもあります。
今回は、産後のママと、赤ちゃんの絆がテーマです。
産後3日目。ママは3人目の出産。
事前に彼女が抱える事情は把握しておりました。
夫からの度重なるDVにより心身が不安定になり、自身も上の子に手を挙げるという負の連鎖。
おまけに、待望の女の子(上は2人男の子)にも関わらず、夫は女の子は要らないと言い出す始末。
夫から身体の暴力(首を絞められて、警察沙汰になった事もある)
や言葉の暴力の数々を受けても、まだ尚別れる決心がつかない状況です。
「子供たちの事を考えて、自分が我慢したらいいんだ」
と寂しく笑って話す気持ちを聞き、
「″誰かのために我慢する”という、切ない気持ちは今までもありましたか?」
という、いままでに感じた似た感情体験へのフィードバックを、顕在意識下で行います。
当然、いつもです、子供の頃からそうです。という返事です。
自分の育った環境も、お姉ちゃんだからと、いつも
我慢してお母さんに甘えられなかったし、父親は子
供や家庭に無関心(ネグレクト)で寂しかったと話されました。
それでも、現状を変える自信が無いのは、
「夫と別れたら一人で3人の子供を育てられるか不安で、離婚したら世間の目が怖いという恐怖心」があるからと言います。
現在、産休中でお仕事も安定したものをお持ちなのに、夫への依存から現状を変える決心ができない状況のようです。
繰り返す自己の望ましくない感情パターンと負の虐待連鎖を断ち切りたいと思っているのに、その一歩が踏み出せない。しかもどんどん深刻になる……泣きながら話されました。
少しでも彼女を救える力になりたいと切に思います。
ふと、横を見ると
傍らのママの隣のベッドでスヤスヤ眠る赤ちゃんが目に入りました。
『この子はなぜこの環境を選んで生まれてきたのかな。』
そう考えた瞬間に赤ちゃんの意識が私に伝わってき
ます。
「お母さんを助けるために生まれてきたよ。
私はとても強い子で、負けないよ。
お母さん、しっかりして!」
と𠮟咤激励する熱血赤ちゃんです。
その言葉をママに伝えることに何の躊躇いもなく、むしろ、伝えなければと思い、そのまま赤ち
ゃんのメッセージをお話しました。
それを聞いたママは号泣されました。
(同時に私も感動の渦に浸りました)
いつも、感じるのですが、直観で伝わるメッセージは、疑いがなく魂に響き心を打つのです。
お互いの魂のテーマに向き合うために、今世では母と子としてキャスティングされて生まれ
てきた魂の契約の尊厳に畏敬の念を覚えます。
小さな小さな赤ちゃんだけど、勇敢で凛とした存在。
選んで生まれて環境はサバイバルだけど、ママにとっては神様のような救世主になるはず。
このようなカウンセリングを通じて、私にできることは微力だけれども、こんな感動の瞬間に仕
事として、居合わせられる幸せを感じると共に、私に与えられた仕事の大切さに身が引き締まる思いです。
そして、これは、単にこのママの問題ではなく、この経験を共有した私にとっても素晴らし
い学びの場でもあるという大いなる意思を感じずにはいられないのです。
意味のない経験はない。すべての出来事、出会いに感謝します。